あなたは、「なぜ、企業が株主優待を株主に贈るのか?」を疑問に思ったことはありませんか?
株主優待とは、条件を満たした株主に対して、企業が感謝の意味を込めてモノやサービス券を贈ることを言います。
株主優待には、自社商品の詰め合わせ、割引きチケット、食事券、お米、金券(クオカード、商品券、図書カードなど)などがあり、企業によって優待内容が異なります。
このように、株主優待は、株主にとって魅力的なものが多いです。一方、株主優待を送る企業にとっては、準備や発送などが大変であることが想像できます。
このとき、株主優待を送ることは、株主還元であるから当然だと思う人もいるかもしれません。しかし、株主還元であれば、配当金だけを出せばよいのです。
配当金とは、企業が儲けた利益の一部を株主に還元することを言います。例えば、「今期の配当金は、1株あたり15円に決定しました」などと表します。
ここで、株主還元が配当金だけであれば、資金の移動だけで済みますので、モノやサービス券を送るよりは手続きが楽であると言えます。
管理人は、企業がわざわざ準備が大変な株主優待を贈る理由が気になったので調べてみました。結果、株主優待は日本独自の文化であることがわかりました。つまり、海外では、株主優待はほとんどありません。
そこでこのページでは、「なぜ企業が株主優待を株主に贈るのか? 企業側のメリットはなにか?」をお伝えします。
目次
株主還元の方法(配当金と株主優待)
まず、株主還元についてもう少し詳しくお伝えします。株主還元には、主に配当金と株主優待の2種類があります。
1.配当金
配当金は、企業が儲けた利益の一部を株主に還元するこで、日本企業の配当利回りは2~3%前後です。この配当金は、保有株数に比例して受け取ることができるため、投資金額が大きいと配当金も大きくなります。
2.株主優待
株主優待として、条件を満たした株主に対して、企業が感謝の意味を込めてモノやサービス券を贈ります。
この株主優待は、企業の好意であるため優待を贈る法的な義務はありません。そのため、業績悪化などの理由で優待内容が変更されたり、優待が廃止されることもあります。
また、株主優待は、保有株数が多くなると優待内容が豪華になるとは必ずしも言えません。むしろ、最少株数100株のときが、優待利回りが最も高くなるときが多いのです。
ここで、株主優待を贈ることは日本独自の文化であると言えます、なぜなら、海外の企業では配当金を支払うことはあっても、株主優待を贈ることがほとんどないからです。
これは、お中元やお歳暮などの贈答文化があったために、根付いた文化のようです。
管理人は、日本の国土が狭いことも、株主優待が普及した理由の一つだと考えています。
つまり、日本の国土は相対的に狭いため、モノやサービス券を送る場合でも、そこまで輸送コストがかからないのです。
一方、国土の広いアメリカの企業が株主優待を贈ろうとしたら、輸送コストが高くついてしまいます。だから、資金の移動だけで済む、配当金だけで株主還元をしているのだと考えられます。
ちなみに、日本の国内企業から海外への投資家には、優待の発送は行われていません。これは、輸送コストが高くなってしまうからではないでしょうか? 海外の投資家からしたら不公平だと感じるかもしれません。
企業が株主に株主優待を贈る理由、企業側のメリット
株主還元だけであれば、企業は配当金を増やせばよいのです。しかし、わざわざ企業が株主優待を贈る理由は、大きく3つ考えられます。
1.株主還元の価値を高めるため
配当金だけより自社商品の詰め合わせなどを株主優待として贈る方が、株主にとってはお得感があります。なぜなら、配当金より自社商品の詰め合わせの方が金額が大きくなるからです。
例えば、企業は、配当金を増やすのが1400円しかできない場合でも、自社商品の詰め合わせであれば2000円相当のモノを贈ることができるのです。
なぜなら、商品の利益率が3割だと仮定した場合、企業が負担するコストは同じになるからです。そうであれば、企業も優待を贈ることで、還元額を大きくすることができます。
結果、株主にとっては、配当金の増額より株主優待をもらう方がお得感が出てくるのです。
さらに、株主優待であれば配当金のように税金がかからないことも、株主にとっては嬉しいことです。
このように、配当金の増額だけより株主優待を贈る方が、株主還元の価値を高めることができるのです。
2.株主を増やすため
企業には、株主優待を贈ることで自社の株主を増やす狙いがあります。株主を増やす理由には、以下の3つが挙げられます。
①上場基準を満たすため
会社が上場するために、株主数が一定数以上になることが必要です。この上場基準を満たすために、企業は株主数を増やさなければなりません。
そこで、株主優待を贈ることで、個人に株主になってもらう狙いがあります。企業は、個人株主を取り込むことができれば、大幅に株主数を伸ばすことができます。
②敵対的買収をされにくくするため
敵対的買収とは、経営権の取得を目指して、会社の株式を買収することです。買収される企業にとっては、良い話ではありませんので、敵対的買収は脅威となります。
ここで、株主が多いほど敵対的買収がされにくくなります。なぜなら、多くの投資家から株を買い集めなければならないからです。
そのため、企業は株主優待などを贈ることで、多くの株主を獲得できるように努めます。
③企業の株価を下支えするため
個人投資家が株主になることで、企業の株価の下支え効果が期待できます。
一方、目先の利益を追求する海外の投資家や機関投資家だけでは、株価の変動が大きくなってしまいます。
ここで、個人投資家が株主として加わることで、長期保有してくれる株主も増えることになります。
このように、個人の投資家が安定的に株を保有してくれる方が、株価が安定するため企業にとってはありがたいのです。
3.株主に企業のファンになってもらうため
株主に企業のファンになってもらうために、株主優待を贈ることは効果的です。
管理人は、株主優待は試供品(サンプル)の提供と少し似ていると感じています。なぜなら、株主優待として自社の詰め合わせ商品などを贈ることで、自社商品の宣伝につながるからです。
また、優待内容が良ければ話題となり、自社の商品・サービスの知名度の向上につながります。実際、管理人も株主優待がきっかけで知った企業がいくつかあります。
例えば、居酒屋やレストランなどを展開している「コロワイド」です。この企業は、株主優待が魅力的だったこともあり、ご存知の方も多いかもしれません。管理人は、株主優待内容を見るまでは知りませんでした。
ここで、顧客であり株主でもある人を増やせれば、企業の売上アップにもつなげることも可能だと考えられます。なぜなら、企業を応援してくれる人が増えるからです。
このように、株主に企業のファンになってもらうために、株主優待を贈ることは有効だと考えています。
積極的に株主優待をもらおう!
今までお伝えしてきたように、企業にとっても株主優待を贈るメリットは大きいのです。
そのため、株主となる私たちは、積極的に株主優待を頂くべきだと思います。
もしかしたら、優待として頂き物をもらうことに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、株主優待をもらうことは、株主の権利とも言えますので、積極的に優待制度を活用していきましょう。
株主優待についてもっと知りたい人は、良ければ以下のページを参考にしてください。
「株初心者でも簡単! 株主優待生活のおすすめ! 株主優待のもらい方は?」
株主優待のもらい方や注意点、少額で買えるおすすめの株主優待、使うべきネット証券について書かれたページに移動できるようにまとめてあります。
まとめ
このページでは、「なぜ企業が株主優待を株主に贈るのか? 企業側のメリットはなにか?」をお伝えしました。もう一度、おさらいをしますと以下のとおりです。
1.株主還元の価値を高めるため
2.株主を増やすため
3.株主に企業のファンになってもらうため
このページを読んで、「企業がわざわざ株主優待を贈る理由」の説明になったら幸いです。
企業にとってもメリットが大きい株主優待ですので、積極的にこの制度を利用して、素敵な優待をいただきましょう。